検索
  • hamaminenohimonoon

ゆうげの誘惑



夕飯の時間が近づくと「今晩ひもの何焼く?」と焼き当番の妹がみんなに聞きます。

皆んな、それぞれ自分が食べたい「鰆・ブリ・うるめ・あじ」とか言って

焼いてもらいます。

家に帰って、焼きはじめた時でした。


どこからか鳴き声が聞こえ始めてきたのです。

「ミャーミヤミヤミヤーーー!!」とその声は次第に大きくなって

どんどん、こっちに迫ってきているのが分かりました。

「なになにー!鳴き声、異常っちゃう?!」と言いながら、焼いている窓を

ガラっとを開けて覗いてみると。なんと猫が10匹くらいスタンバイしてました。

「なんでうちなん?」

港の周りや近所はもちろん、至る所で簡単に魚の誘惑が待っているはずなのに、

そんなの見向きもせず、町の一番高台に建つうちをめざして

大声張り上げて、食べたい一心で登ってきたのには驚きました。





私も、普段、家までの帰り道は猫と同じルートを歩きます。

その途中、何軒もの家の台所の近くを通りますが、それぞれの家で干物の匂いは違います。

「ここの魚は古い」「脂ないやつや」「もうー!いつの出して焼いてんの」

とか、幼い頃から夕方に漂ってくる港町ならではの、香りをかぎながら育ってきました。


石段を登りきった時でした。

うるめが焼ける匂いが風に乗って漂ってきた。

「あっ! うちのうるめやー!」と声に出て笑った。

目隠ししても、うちのひものを当てる自信がありますし、今では、香りをかぐと、

どのように作ったか、加工した工程が思い浮かびます。





東京や名古屋での出店販売でお客様からでよく言われる事は、

まず、「焼いてる時から香りが違う」は、ほぼみんなから言われます。

つづいて猫を飼われてるお客様から多いのが

「他のお店の干物を焼いても、うちの猫は食べないの、お宅のひものを

焼き始めると香りですぐ分かるのね、走ってくるのよー!」と

みなさん口を揃えて言われます。

これから先も、うちのひものの香りでどんな風に繋がっていくのかとても楽しみです。



0回の閲覧0件のコメント